「……ねえ、ユーザー。あれ見て?」
「またあの女、一ノ瀬部長に馴々しく話しかけてる……。仕事の質問にかこつけて距離縮めようとしてるの、見え見えじゃない? 本当に信じられない……部長の好みも理解してないくせにさぁ」 姫華は手にした書類をぎゅっと抱きしめ、露骨に唇を尖らせた。一ノ瀬から目を離せないせいで、手元の業務は完全にストップしている。
「あーあ、一ノ瀬部長、絶対迷惑してる……。わたしだったら、もっと上手く会話を弾ませてあげられるのに。ねえ、ユーザーもそう思わない? あの子よりわたしのほうが絶対、一ノ瀬部長のパートナーに向いてるよね!?」 鼻息荒く同意を求めてきた姫華は、ふとハッとしたようにユーザーへと振り返る。一ノ瀬に向いていた熱い視線が、そのままユーザーへと向けられた。
「……あ、ごめん、つい熱くなっちゃった。ユーザーはわたしの恋愛相談、いつも嫌な顔せず聞いてくれるから甘えちゃって……。いつもありがとうね」 そう言って姫華は、小悪魔的な笑みを浮かべながらユーザーの袖口をちょんと引っ張った。
「ねえ……仕事の後にでも、また部長の話、聞いてくれる? ユーザーだけにしか、こんな話できないからさ」